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2018.01.23

木の写真フレーム

この、優しい雰囲気の素敵な木のフレームたち、

この私が作りました。

 

写真がデジタルになってからというもの、

写真を売る仕事をしている私でさえも、写真のプリントはしなくなりました。

お客様からのご依頼も、データのみの撮影がほとんどとなりました。

 

アルバムはアルバムの魅力があるのですが、

やっぱり一番誰かの目につくのは、フレームに入れて飾る写真です。

 

私の実家には、なんでその写真飾るの。。

という納得のいかない、母親チョイスの写真がいくつも飾られていますが、、、

 

写真の自分のブス顔はさておき、

自然と家族の写真が目に入ってくるその環境が、とても好きでした。

※左が私ですが、お姉ちゃんよりはマシに写ってますね。

 

 

 

以前に撮影をしたことのあるお客様のお家にお伺いすると、

私が送ったフレームが、そのまま飾られていることが100%でした。

そしてほとんどのお客様が、写真を入れ替えることなく、そのまま飾っていました。

 

私のセレクトする写真が

何十年もその家族の家に飾られ続ける可能性があるので、

セレクトは責任重大、注意深く選びます。

 

そして、こんなにもみなさん飾ってくれるなら、

やはり、壊れることの無い、一生使える、丈夫で、見た目にもイケてるフレームを!

 

と思い、いろいろ探してみたのですが、気にいるものが見つからず。

 

 

そこで、自分で気にいるものを作れないものかと、

素人が何言ってんだ、と言われる覚悟をして、

プロの木工家さんに相談しました。

以前、肖像写真に関するブログでも紹介させていただいたことのある木工家の和田さん。

@和田さんの工房

 

木工家としての活動のほか、

ツバキラボという、木工家さんたちのための木工シェア工房の運営をされています。

 

プロの方から、私のようなど素人まで、いろいろな形で受け入れてくださる工房です。

 

昨年に今回の思いつきを相談してみたところ、

「一度覚えれば、自分で作ることもできると思いますよ。」

という意外なお言葉。

 

でも、和田さん、嘘つきましたね。。

 

 

フレームを作るための工程は、

工程だけでも20以上。

その工程に入るための準備なども入れると、、、、

 

全工程をブログにしようと考えていましたが、みんな寝ちゃいそうなのでやめます。笑

 

—-

 

「SHARオリジナルフレームにしましょう」

と和田さん。

最初からオリジナルで作れるとは思っていなかったので、

ワクワクがとまりませんでした。

 

フレームに使う素材から選ぶことができました。

 

個人的には濃い茶色の木が好きなのですが、今回はお客様にお渡しするフレームです。

家の中を自然に明るくしてくれる色がいいな〜と、

選んだのは、ナラの木。

この木から、あのフレームができるなんて想像できません。。

フレームのサイズに切り落としやすい大きさにカットするため、

複数の工程を進めていきます、、、

 

 

さて、

木には「芯材」と「辺材」があります。

芯材は「赤身」とも呼ばれ、色が濃く、硬く形が崩れにくい部分。

辺材は「白太」とも呼ばれ、色が薄く、柔らかく形が崩れやすい部分。

 

変形しにくい赤身のほうが、良材と言われています。

 

また、

木は年輪の形とは逆に反るという特性があります。

年輪がまっすぐな部分は、反りずらいので使いやすく(柾目という)

年輪が曲線を描いている部分は、そりやすいので使いずらい(板目という)

 

木は人間から見たら、とても硬い物ですが、笑

生き物ですので、湿気や乾燥など、時間が経つと変形する性質があるんですね。

 

ただ木を切って、素材全部を使えるかといえばそうではなく

職人さんたちは、頑丈な木を選んで物作りをされています。

 

 

またまた複数の工程を経て、、、、

 

フレームを構成する4つの辺となる4つのパーツが出来上がりました。

この4つのパーツをパズルのように並べると、フレームになるのは皆さん分かると思います。

端の斜めはもちろんすべて45度。

 

、、、っと、そう簡単には行か無いんです、、、実は。。。

数学上は45度で合うはずですが、

木は生き物です。45度では合わないんです!!!

斜めの角度は木によって毎回違うらしく、小数点以下一桁でも測れ無いミクロな世界で

細かく設定しなければ、ぴったり合いません。

 

この作業がなかなか大変。

四つ角全てが、浮き無く、ピッタリとくっつくように

カットする角度を調整します。

 

こういう細かいところを妥協し無いことで、

美しく、そして長く使える頑丈なフレームになります。

 

尊い職人技。

 

、、、、そして、また、、多くの工程を経て、、

ここまで、ワープさせて頂きました。笑

この茶色いパーツ、これは「留つぎ」です。

これぞ、和の心!!!

 

尊すぎる職人技。。

 

ビスや釘を使わず、木だけを使って、ピッタリと重ね合わせることによって

頑丈に木と木をつなげる手法。

木を傷つけないので、

時間が経っても劣化しずらいというメリットもあります。

 

私は、フレームを作る前、

ここが最大の謎でした。

どうやったら、こんなにピッタリと木をはめられるんだ!!!と。

 

インクで塗ってるんじゃないんです。

本当に木がピッタリとハマってるんです!

 

 

さて、謎は解けました。

 

本当にピッタリになるよう、フレーム側を削り穴を作り

その穴にはめるピッタリの木を作る。

そして、入れる。

 

というそのまんま!

キツイと当然全く入りませんし、隙間ができたら、意味がないですので、

ピッタリと。

 

サイズを合わせるのは本当に繊細な作業です。

 

さて、留つぎの謎が解明された後、

また謎が。

 

そのはみ出たところどうやってカットするの?

答えは、高速回転するヤスリで削る、でした。

 

最大の謎が解けた瞬間でした。

 

 

このヤスリの後の留めつぎとフレームの一体感。。。

 

この感動。。

「美しさ」と「優しさ」

を感じるこの留つぎ。。

 

 

続きまして、二番目に気になっていた謎。

 

今回作るフレームは、

小さなお子様のいるご家庭で赤ちゃんが触れても怪我をし無いように

また優しい雰囲気の出るように、丸っこいフォルムにしたいと思っていました。

 

ただ、角を丸くするのってめちゃくちゃ時間かかりそう。。

と思っていました。

 

しかーし!

角とるの一瞬!!!!

「面取り」と言って、アール(角のカーブ)の大きさも、自由に選ぶことができます。

私は、表側を大きめのアールにして、より丸っこいフォルムになるようにしました。

 

どうやってこの面取りを一瞬でしたか、だけは、

今後、木工に挑戦したい人のためにも、このブログでは内緒にしておきます。笑

 

 

さて、ここまできたら、もう仕上がったも同然ですが。

最後に手でペーパーをかけていきます。

 

工程として、説明を飛ばしまくりましたが、

機械でのヤスリは、ここにくるまで実は何回もかけています。

でも、最後は手でヤスリをかけます。

 

すでに充分表面は綺麗だと思っていましたが、

最後、手でヤスリをかけることによって、柔らかな温かみが一気に増しました!!

 

一手間がとっても重要。

 

仕上げにオイルを塗ります。

表面をコーティングして、汚れや劣化から守ります。

 

最後に、留め金を付けたら

 

完成❤️

 

今回は

「暖かく優しいフレーム」

を目指しました。

 

ただ、留めつぎだけブラックウォールナットという木を使い、

ちょっとした鋭さも出してみました。

 

ということで、SHARオリジナルフレームの完成です*

 

冒頭に説明しました、良材を使うとより丈夫に仕上がるのですが、

私は、赤身と白太が混ざっていたりする、斑(まだら)感にも萌えました。

商品としては避けがちな木の節なども、積極的に入れました。

 

 

フレームの4つのパーツは、仕上がりの柄のバランスを考えながら組み合わせています。

 

本当に世界に一つしかないフレームたちです。

 

お届けするのが楽しみです*

 

 

ツバキラボさんでは、フレーム以外にも木工を体験したり、はじめてみることができます。

 

ちなみに今回私が利用したのは、マンツーマンワークショップでした。

このワークショップの様子は、ツバキラボさんのブログでもご覧いただけます*

ツバキラボのブログ

 

冒頭に、「私が作りました」とお伝えしましたが、

全ての工程で、体験はさせていただけたものの、

とてもじゃ無いですが、一度では一人で作れるようにはなりません。笑

 

そんなに簡単に作れ無いからプロに頼むんです。笑

 

でもやっぱり、ものづくりって本当に楽しいです!!

ちゃんと学んで作れるようになれたらいいな〜と実は思っています。

 

 

 

今回体験してみての一番の感動はやはり、

留めつぎ。。

あの「美しさ」と「繊細さ」と「優しさ」

 

まさに、調和。

 

調和は嬉しい。

 

photographer SHAR